こんにちは、まるまるです。
今回は『胸オペを不安少なく行うコツは、まず正社員とし3年働くことだと思う』についてお話します。
僕は正社員として在職中に胸オペを行いました。自分ではこれがベスト選択だったと思っています。
国内で胸オペを検討している方は治療開始前に、まずは3年間正社員として働くことをオススメします!
これはもう、中年FTMの老婆心です(汗)
- 治療・手術費用をためやすいし、術後のキャリアを描きやすい
- 入院期間が伸びても有給を使えば安心
胸オペを不安少なく行うコツは、まず正社員として3年働くことだと思う
胸オペなどするときに離職される方も多いかもしれませんが、僕は在職したまま手術をしました。お金や精神的な負担はかなり少なかったかなと思っています。
術後の人生が描きやすいっていうのは、僕には安心でした。
身体的治療を望んでいるトランスジェンダーの方にとって、「何歳ごろ」「どんな環境で」治療を開始していくかというのは、人生設計に大きく関わる悩み事ですよね。
性別違和を抱えているために、キャリアスタートすること自体にためらいがでたり、キャリア中断するしかないと悩んでしまうことはトランスジェンダーあるあるだと思います。
治療・手術費用をためやすいし、術後のキャリアを描きやすい
僕は国内の大学病院で乳房切除術(胸オペ)を行いました。
在職中に有給を使って、胸オペ入院をしたんですよね。
最初に大学病院に問い合わせをしてから、実際に胸オペをするまで約1年半ほど。現在はコロナ禍で起きた医療逼迫と海外渡航が難しいため余計に待ち期間がかかるかもしれません(汗)
僕は全額自費診療だったので手術・入院費用で約75万円かかっています。事前検査や経過観察の通院交通費を含むと90万円くらい見ておくと安心かも?
90万円って大金!(汗)
この大金を、正規(正社員)/非正規の平均給与と20代平均生活費でどのくらいの期間で貯められそうか確認してみましょう。
国税庁HPに年齢別で平均年収を調べているグラフがありました。
引用元:国税庁 平均給与
『平均給与』は正規・非正規合算の平均。20代前半と後半で年収の開きがありますが、20代全体だと年収330万円程度になりそう。これは税込のグラフなので、1ヵ月当たりの手取り給与は22万円くらい。
非正規の年齢別は見つけられなかったので、東京の最低賃金から計算してみます。
東京都の最低賃金は2021年10月から『1,041円』…。計算しにくいので時給1,000円にして考えます。
1日10時間×20日勤務=20万円⇒これは税抜月収なので手取りじゃなくて「額面」です
手取り(税込月収)はここから×0.8なので、1ヵ月あたり16万円。
総務省が調べている家計調査によると、単身者は1ヵ月15万円くらい支出しているそうです。
1ヵ月当たりの平均手取り | 1ヵ月当たりの貯金できそうな最大金額 | 90万貯めるまでの期間 | |
正規 | 22万円 | 7万円 | 13か月(1年と1ヵ月) |
非正規 | 16万円 | 1万円 | 90か月(7年と5か月) |
正社員で働いて、毎月7万円を3年間貯金したとすると『約250万円』にもなる!
これだけあれば胸オペするために退職したとしても、1年近く生活費は何とかなりそう。
国内で胸オペを行う場合、条件が合う方は『高額療養費制度』が適応できて実費が8万円程度になることがあります。
言い換えると、健康保険制度を活用して胸オペができるような国の仕組みができています。
胸オペ前にホルモン補充療法をしていない方は適応条件を満たす方が多いと思います。詳しくはこちらの記事に書いているので、気になる方は参考にしてみてください。

ガイドラインに沿って胸オペをするときに
『やっぱり退職して手術、ホルモンを始めたい』と思う場合は、正社員として3年働いてから退職という流れにするとお金とキャリアの不安を一掃できる可能性が高いです。
その理由はこの2点ですね。
- 退職金支給要件を勤続3年以上としている企業が多い
- 教育訓練給付制度がつかえる(※)
※教育訓練給付制度は、1年以上雇用保険に入っていたらバイト・パートの方も利用可能。
専門実践教育訓練受講の場合は2年以上必要。
教育訓練給付制度の中身に『専門実践教育訓練』というのがありますが、これは看護師などの医療国家資格、IT関係資格などが最大70%(最大224万円)費用支援が受けられる制度。
ほかにも簿記なども支援金額は下がりますが、教育訓練の対象講座として認められています。気になる資格が対象になっていないか1度調べてみるとイイかも。
引用元:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html
正社員で3年働いたらしっかり貯金もできると思うので、訓練給付金をもらいながら進学(学びなおし)するのは十分可能でしょう。
キャリア選択肢の1つになってくるのではないでしょうか?

入院期間が伸びても有給を使えば安心
僕はもともと巨乳だったので(汗)、かなり大きく胸を切開しました。

大きく切開するとそれだけ術後の排液が多く出ます。僕は予定していた日数よりもドレーン抜去が1日半遅れました。そのため入院期間も1日延びるかもって言われていました。
実際は半日(午後退院)で何とかなりましたが(汗)
大抵の方は入院予定日数通りでしょうが、身体状態によっては絶対ではないってことを頭の片隅に入れておきましょう!
もともと入院期間よりも少し多めに有給申請していたのですが、入院中に勤務先に連絡して念のため+1日追加で有給をもらう事にしました。有給を追加でもらえたというのは、入職している会社風土にもよるかもですが、やはり非正規よりも正規職員の方が希望が通りやすいと思います。
非正規の場合、有給が取れないと単純に『休み扱い』になって時給が発生しなくなる…
手取りが減っちゃいますよね。
正社員は基本給があるので、手取りが減るってよりは有給を使わされる方向になるハズ。
有給は正規・非正規問わず労働者に与えられている休む権利なのですが、今の日本社会は有給取得しようとすると肩身が狭い思いをしやすい…
休まず働け!当たり前だろう!みたいな古い考え方はみんなで早く変えていかないとですね(汗)
労働者の権利なので有給消滅しないように毎年使いきってもいいんです!
正規職員だと1年目:10日 2年目:11日…と1年経過ごとに1日づつ増えて有給が付与されます。非正規の場合は常勤換算で何割出勤しているかで付与日数が変化するんですよね。給与明細に有給日数が記載されていると思うので確認しましょう!
付与有給日数は常勤の勤務時間を1として換算されるので、
勤続年数が長い正規職員>勤続年数が長い非正規職員といった構図になりやすい。
そして、2021年4月からは労働基準法か改正されましたね。国が主導している『働き方改革』の一環です。
正規社員の場合はもれなく1年間で最低5日分は従業員に有給取得させなければならないというようになりました。
非正規の場合は1年間の有給付与日数が10日を超えた年は対象です。
こういう雇用環境を考えると、やっぱり正社員の方が有給を使いやすいのかな(汗)
まとめ
僕は理学療法士資格を取るまでは、会社勤めだと身体的治療に移行するのは難しいと考えていました。
最近は僕のように戸籍の性別変更をしていない状態でも、会社員として埋没して働いている方が少しづつ増えてきました。
学校を卒業して就職する前に
『身体的治療(性別適合手術)を全て終わらせて、戸籍変更までしないとやっていけない!』と思い込む必要性が低くなってきたってことですね。
10代~20代前半に人生を焦らなくてもいい、選択肢のロールモデルが増えてるってこと。
僕が年を重ねてきたからかもしれませんが、トランスジェンダーだから○○できない、○○は無理だよなって考えるのがとっても勿体なく感じているんですよね。
今回の記事は以上です。ありがとうございました!