こんにちは、まるまるです。今回は
「意味は一緒? FTM、性同一性障害、トランスジェンダー 違いはなに」についてお話します。
少し前からテレビでも「LGBT」という言葉を聞く機会が増えてきています。
その中でも「T」=トランスジェンダーという言葉が目を引きませんが?
その際にトランスジェンダー=性同一性障害というくくりで話が展開されることが多いのですが、実は意味が少し違います。
タイトルにある「FTM」「トランスジェンダー」
「性同一性障害」は実はそれぞれ違うんです。
この言葉のカテゴライズはただの区分けではあるのですが、
言葉の意味を正しく知ることで、当事者は気持ちが軽くなる場合もあります。
僕自身改めて調べて、そうなんだなぁと感心しました。
意味は一緒?
FTM、トランスジェンダー、性同一性障害 違いはなに
ここでは分かり易いように「身体の性」「心の性」という概念を使用します。
FTMとは?
「身体の性」⇒女性 「心の性」 ⇒男性
英語で表記すると、female to male です。
生物学的の性(身体の性)は女性で、自認している性(心の性)は男性 というものです。
これは身体変化を伴う治療をしているか、していないかに関わらず
その人が自認していればFTMです。
MTFはFTMと表記が反対となり、 male to female です。
こちらは、生物学的の性(身体の性)は男性で、自認している性(心の性)は女性です。
ちなみに海外ではFTM、MTFという言い方はあまり使われなくなってきています。
FTMを「トランス男性」、MTFを「トランス女性」と言われるようになりました。
この身体の性と心の性の組み合わせは2つだけではありません。
いろいろな組み合わせの総称がトランスジェンダーになります。
トランスジェンダーとは?
一般的には
身体の性と心の性が一致せず、自分の身体に違和感を持つ人たち¹⁾
と言われています。
ですがトランスジェンダーだからと言って、
必ずしも「自分の身体に違和感を持つ」というわけではありません。
上記の引用は、法務省 人権教育啓発推進センターです。
公的機関の認識なので、学校における教育場面でも上記のように進めていると思います。
これがトランスジェンダー=性同一性障害と思わせてしまう要因かもしれないですね。
トランスジェンダーについて、もう少し詳しく見ると
・ 出生時に割り当てられたジェンダーとは異なるジェンダーを自認する人々
・ 出生時に割り当てられたジェンダーに期待される役割とは異なるアイデンティティを
表現する(こともある)人々 ²⁾
上記のように定義されています。
つまり、生まれた時の性と異なる性を自認していたらトランスジェンダーです。
FTMはトランスジェンダーの一部と言えます。

トランスジェンダーには心の性が
「男性でも女性でもない」
「男性と女性、両方である」
「男性か女性が決めきれない」
「男性と女性の中間」
と自認されている方もいます。
皆さんが違和感を持っているとは限らないですし、身体変化を伴う治療を望むとは限りません。
性同一性障害とは?
一言でいうと「診断名」です。
「大腿骨頚部骨折」や「大動脈解離」と同じような『状態の名称』に当たります。
性同一性障害特例法では以下のように定義されています。
「生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず,心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という.)であるとの持続的な確信を持ち,
かつ,自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって,
そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいう.」
この診断が何のためにあるかというと、
「日本の法律下で戸籍の性を変更するために必要だから」の一点です。
生まれた時の性と異なる性を自認していたらトランスジェンダーであると言えますし、FTM であると言えます。しかし、医師の診断が下りていないと性同一性障害ではないと言えます。

性同一性障害は「戸籍の性を変更するために必要な診断名」でしかないからです。
現時点で戸籍の性を変更する考えや可能性がある人は、日本のガイドラインにのっとってカウンセリングを受けるところから始めるのが良いかと思います。
診断自体はホルモン注射をすることとは別の話です。
いろんな理由ですぐに身体的変化のある治療に移れない場合でも、上記の定義に当てはまれば診断が下るのではないでしょうか。
僕はガイドラインに沿って、
カウンセリング⇒ホルモン補充療法⇒乳房切除術まで現在行っています。
社会生活すべてを男性として生活できており、不自由を感じなくなっていること、
高齢になった時の身体の負担を考えると、この先の手術に踏み出すことを現在は考えていません。
日本も海外のような性別変更の要件を採用してもらえたらいいなと思います。
それぞれの言葉の区分けから見えること
治療をしている、していないにかかわらず「生まれた時の性と異なる性を自認しているか?」という部分が大事な点です。
「FTMなのに治療しようとしていないから違う」 「性同一性障害の診断がないとFTMと言えない」 「戸籍変更をしないなんてトランスじゃない、勘違いしてるだけじゃないか」
これらは誤った認識です。
重要なのは「その人が自認していればOK」だし、
「自認はほかの人に左右できないものだ」ということです。
自分の責任において、自分の人生を後悔ないよう選びきれたなら
それだけでも人生100点じゃないですか?
今回の記事は以上です。ありがとうございました!
【参考リンク】【FTM ホルモン注射】 副作用が出ても後悔しないか
参考文献
1)日高庸晴監修,法務省 人権教育啓発推進センター,性的少数者に関する人権啓発リーフレット(一般向け)
2)東 優子,ジェンダーの多様性をめぐる概念の登場と変遷,女性心身医学 Vol. 22, No. 3, pp. 219-224.
3)日本学術会議法学委員会社会と教育におけるLGBTIの権利保障分科会,性的マイノリティの権利保障をめざして
─婚姻・教育・労働を中心に─,平成29年9月29日