こんにちは、まるまるです。
今回は『カウンセリングは大事、ホルモン補充や手術で後悔しないために』についてお話します。
ホルモン補充療法は多くのトランスジェンダーが望む行為の一つです。
ですが、肉体的に負荷をかける行為なので副作用が現れます。
僕自身も男性ホルモン補充療法を継続していますが、副作用が様々現れています。
ホルモン補充療法は良きにしろ、悪きにしろ身体変化が現れます。
中には不可逆的(止めても元に戻らない)変化もあるので、本当に自分に必要な行為なのか考える時間を作れるといいですね。
カウンセリングは大事、ホルモン補充や手術で後悔しないために
治療ガイドライン概要
トランスジェンダーの人か治療を進めるにあたって、日本精神神経学会・性同一性障害に関する委員会が『性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン』¹⁾を作成しています。最新版は第4版改定(2020年7月現在)です。
大まかな流れは以下のスライドを参照下さい。

「ガイドラインはあくまで医療者に対する治療指針であり,治療を受ける者に厳格に強いるべき規則ではない」¹⁾とも記載されているため、必ずしもこの流れに沿わなければならないわけではありません。ですが、僕はこの流れに沿っておいた方が治療を受ける人にとって有益なことが多いだろうと思っています。
カウンセリングを行ってから身体的治療を行うメリット
以下の2点が大きいメリットだと思います。
・身体的治療が本当に必要か、自分で考える時間が持てる
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
乳房切除術費用が保険適用になる可能性がある
2018年4月より、性同一性障害の外科治療(手術のこと)の健康保険の適用が開始²⁾されています。
全ての手術が適応となるわけではなく、乳房切除術のみ適応になります。また、すべての乳房切除術が保険適応になるわけではありません。
保険適応で乳房切除術が受けられるのは以下の条件を全て満たしたFTMです。
性同一性障害の診断を受け、ホルモン補充療法をしたことがない人は、
ガイドラインに沿って治療を行い『精神科領域治療』(カウンセリング)を終了した段階の人のみ。
僕は国内病院で2010年代に全額自己負担で乳房切除術を行いました。
その時の費用は約75万円。
しかも保険適用だと、制度上では高額療養費制度が適用可能になるので実質自己負担は6万円前後になる可能性があります。
高額療養費制度についてはこちらの記事でもう少し詳しく書いているので参照下さい。

これくらいの費用負担であれば国外で乳房切除術を行うよりも低価格なハズ。
しかも手術説明、予後予測説明を日本語でやり取りでき、術後検診も国内で行えることに。国外だと細かいニュアンスのやり取りや、術後問題があった場合に早期対応が難しいのではないでしょうか?
身体的治療が本当に必要か、自分で考える時間が持てる
『FTMであるならば、性同一性障害であるならば、身体的変化が起きる治療をしなければならない』ことは全くありません。
『身体的変化がある治療をしなければ、FTMではない』という考えも、
『性同一性障害の人は、性別適合手術をして当たり前だ』という考え方も一義的すぎ。
多様性を放棄した考え方と言えます。
性別違和感を抱える人が、実生活で抵抗感が許容できる範囲で過ごせているかがとても重要。
自分で考えて決めたことなので、副作用や後遺症が起きても何の後悔もありません。
やってよかったと思っています。
自分で考えて出した結論で行動をすれば、どんな結果が起きても許容できるし、周りに何を言われようが軸がブレようがありません。
自分の周りの人々が性の多様性に柔軟性が高く、実生活で抵抗感が少ないのであれば
わざわざお金を使って、身体の健康を減らす可能性が高いものをする必要はあるでしょうか?
ホルモン補充療法をしても、しなくても、しっかり考え抜いたうえでの選択であれば、どっちであっても大正解!

まとめ
身体的変化が起こる治療は、一度踏み出せば治療前の状態に戻すことはできません。
だからこそカウンセリングをしっかり行うことで、自身の健康、お金、将来を考える機会を持つのは良いことだと僕は思います。
今回の記事は以上です。ありがとうございました!
参考文献
1)性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン(改定第4版),日本精神神経学会・性同一性障害に関する委員会
2)山梨大学医学部付属病院 形成外科,性同一性障害の外科治療
