FTM(性同一性障害)

FTMがホルモン注射開始すると身長が伸びる⇒可能性は低いと考えます

こんにちは、まるまるです。
今回は『FTMがホルモン注射開始すると身長が伸びる⇒可能性は低いと考えます』についてお話します。

僕は身長が低いFTMなので、若いころは

まるまる
まるまる
ホルモン注射をしだしたら身長伸びるかなぁ…?身長高くなったらパス度も上がるだろうし!

とワクワクしていた時期もありました。

が、今はその可能性は低いだろうと考えています。

FTMがホルモン注射開始すると身長が伸びる⇒可能性は低いと考えます

昔の僕と同じように身長に悩んでいる方には酷かもしれませんが、以下の理由から僕は『ホルモン注射開始すると身長が伸びる』という可能性は低いと考えています。

  • 解剖学的に難しい
  • 男性よりも女性の方が骨端線が閉じる時期が早い
  • 16歳以下でホルモン補充療法を開始した人じゃないと身長が伸びにくいハズ

これらについて詳しく論じていきます。

解剖学的に難しい

僕は理学療法士養成校で解剖学、生理学など大まかな医療関係学問を修めました。

学校で解剖学を学ぶうちに確信をもってしまいました…

まるまる
まるまる
これから僕がホルモン補充療法を始めても、身長は伸びないぁ

身長が伸びるには、最初に骨の長さが伸びることが必要です。
骨は身体の土台。筋肉、腱、皮膚といった他の組織は骨より後に成長していき、骨の長さにあった組織長に成長します。

成長期に急に身長が伸びると、皮膚の一部である真皮層が骨の成長に追いつかず切れてしまうことがあります。俗にいう『肉割れ』ってやつですね。
成長期にご自身が経験した人もいらっしゃるのではないでしょうか?

骨が成長していくには、骨の端っこにある成長軟骨で細胞分裂・増殖が活発に行われて硬い骨細胞に置き換わっていく必要があります。
成長軟骨部分と硬い骨細胞部分の境目が線になって、『骨端線』と言われています。

この骨端線は、成長軟骨軟骨部分が全部硬い骨に置き換わると消えてしまいます。
骨端線が消えた=それ以上成長で背が伸びないという事ですね。

つまり、ホルモン補充療法開始後に骨の長さが伸びなければ身長は伸びない…!

術後数年経っても残ってる、胸オペの後遺症若いトランスジェンダーの中には、身体的治療に前のめりな方もいらっしゃるかもしれません。僕も昔はその一人でした。 僕は胸オペ(乳房切除術)をしたことに後悔ありませんが、手術により後遺症も残っています。 手術後の人生の方が圧倒的に長いです。後遺症が起きたとしても後悔しないと覚悟できているかチェックの一助にしてもらえたらと思います。...

男性よりも女性の方が骨端線が閉じる時期が早い

骨端線が閉鎖する年齢には性差があります。

男性の場合:17歳~19歳 ※まれに20代前半
女性の場合:15歳~17歳 ※まれに20歳前後

ほとんどの方が、第2次成長期が終わると背が伸びなくなります。
女性の方が身体成熟が早く訪れるので、男性より早く背が伸びなくなるんですね。

女性の身体で生まれてきたFTMもこの影響から逃れられません。
一度骨端線が閉鎖すれば、男性ホルモンを補充したとしても骨が伸びる=身長が伸びることはないでしょう。

骨端線閉鎖前に男性ホルモン補充療法を開始すれば、大学卒業くらいまで身長が伸びる可能性はあるかもしれません。

16歳以下でホルモン補充療法を開始した人じゃないと身長が伸びにくいハズ

身長をより伸ばすという観点に立つと、骨端線閉鎖前から男性ホルモン補充療法を開始で着れば伸びるだろうと思っています。

まるまる
まるまる
可能性はある…、ハズ

女性体の場合、遅くても17歳くらいで骨端線閉鎖する方がほとんど。
人によっては17歳には骨端線閉鎖が起きているので、可能性は5分5分かもしれません。

身長が伸びる可能性を上げるなら、15歳~16歳にはホルモン補充を開始しないと難しいでしょう。

2018年に改定されたガイドラインにはこういう一文があります。

ホルモン療法開始年齢の引き下げ
二次性徴抑制治療は、思春期後期までに終了することが望ましいため、その導入に伴い
狭義のホルモン療法開始可能年齢を条件付で 15 歳に引き下げる。18 歳未満で開始する場合には相応の慎重さが求められるため、開始を判断する医師の要件、観察期間などについてガイドラインを設定する。

引用元:「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン(第4版改)」

18歳以下の若年例への身体的治療は、慎重さがより必要なので具体的に要件が設定されています。

 性同一性障害者に対する診断と治療に関する種々の検討は、領域を異にする専門職(メンバー)が医療チームを作って行う。

(1)医療チームの構成については、性同一性障害の診断と治療に理解と関心があり、十分な知識と経験をもった精神科医、形成外科医、泌尿器科医、産婦人科医などによって構成される。必要に応じて内分泌専門医、小児科医などが加わることが望ましい。

(2)性同一性障害は、社会生活のあらゆる側面に深く関わる問題であることから、医療チームには、上記診療科医師の他に、心理関係の専門家、ソーシャルワーカーなどの参加が望ましい。

引用元:「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン(第4版改)」

これくらいがっちり精神的治療(カウンセリング)をしてからじゃないと、ホルモン補充療法はしないよというのが現れています。

こんな感じで18歳未満で身体的治療に乗り出すのはハードルが高いのが現状です。
15歳からホルモン補充療法を開始するには、一年程度前からカウンセリングを開始しておく必要があります。

中学生のうちに周囲にカミングアウトして、ご両親を説得して、専門医療機関に定期的にカウンセリングに行ける子がどれだけいるだろうか…。

まとめ

身体的治療には高校卒業後など、ある程度自活できるようになってから進む方が多いんじゃないでしょうか?
そしてその年齢には骨端線が閉鎖していて、ホルモン補充したからと言って身長が伸びる可能性は少ない。

身長が低い=パス度が低くなるんじゃ?と心配される方もいるでしょうが、断言します。

まるまる
まるまる
身長が150㎝台でもパス度は低くなりません!

というのも、僕が150㎝台だから(汗)

ネビドを開始してから、一度も女性だと外見で言われたことはありません。街角で『お姉さん』と言われなくなりました。
胸オペまでFカップをナベシャツで押さえていた、数年間の期間を含めてもです。

生粋の男性であっても、ナイナイの岡村さんのように150㎝台の方もいらっしゃいます。
身長は個性の範疇です!

『パス度』に人生を左右されすぎないようにしましょう。
身体的治療はしっかりカウンセリングしてからでも遅くありません。

ホルモン補充は不可逆的治療だからこそ、安易にはしらず覚悟を定めて臨むことが肝要ですよ。

カウンセリングは大事、ホルモン補充や手術で後悔しないために若い当事者や近しい人に、性同一性障害の治療はどんなものがあるか考えてもらうと、最初に出てくるのは身体領域治療であることがほとんどです。 ですが、本当に大事なのはガイドラインで最初に位置付けられている『カウンセリング』だと僕は思っています。内面と向き合って、覚悟を定めてから身体領域治療を行うのが後の人生に有益・重要です。...

今回の記事は以上です。ありがとうございました!

ABOUT ME
まるまる
LGBTQのT。FTMの訪問理学療法士。ファイナンシャルプランナー3級取得しました。 トランスジェンダーでもお金の苦労少なく自由な生活したい!というのが目標。40代でバリスタFIREを目指します! 資産運用、節税対策、FTMに関することなど自身の体験や興味のあることを書いていきたいと思います。 Twitterはこちら